導入事例

請求書の受領・支払業務のペーパーレス化により全社のテレワーク化が加速

自社導入事例

アグレックス企画本部経理部は、働き方改革の一環として、全社的に“紙の原本管理”に依存していた請求書受領・支払業務のペーパーレス化を計画した。SAP Concur担当部門の支援のもと、電子帳簿保存法に対応した請求書管理クラウド「Concur Invoice」を導入。
デジタル化された請求書を原本として管理できるようになり、業務の大幅な効率化とテレワーク化を実現した。

課題
  • 請求書支払業務がテレワーク移行のボトルネックに
解決
  • 電子帳簿保存法対応の請求書管理クラウド「Concur Invoice」を採用
導入したソリューション・サービス

課題

請求書支払業務がテレワーク移行のボトルネックに

アグレックスは2019年頃より、テレワーク化をはじめとする働き方改革に本格的に取り組んでいる。その動きは2020年前半からコロナ禍を受けて加速するが、テレワーク比率が高まるに連れ、潜在的な課題が浮き彫りになったと、企画本部経理部長の三木譲治は説明する。「紙の書類が必要な社内業務はまだ多く、そのたびに各部門の社員はオフィスに来る必要がありました。中でも全部門にまたがるのが、取引先や物品購入先から受領した請求書を経理部へ提出し、支払申請を行う作業です。早急に手を打つ必要がありました」
アグレックスが月間に受領する請求書は約6,000通で、各部門の事務担当者は紙の請求書を社内便等で経理部へ提出する。事務担当者はこれと同時に、請求書の内容に基づき、会計システム上で支払伝票データを作成し、上長承認を得たうえで経理部へ送信する。
一方の経理部側の作業負荷について同部の横塚万依は「各部門から膨大な枚数の請求書が届きますが、これを画面上の支払伝票データと1対1で紐付けし、内容を突合していきます。作業は月末・月初に集中し、遅くまで残業しないと処理できないほどでした」と話す。
全社的に“紙の原本管理”から脱却し、在宅での作業を可能にするため、経理部を中心としたプロジェクトチームが発足。電子帳簿保存法への対応および請求書をペーパーレスで管理できるシステム構築を目標として掲げた。チームのPLを務めた同部の橋本美穂は「これまでとの一番の違いは、スキャナでデジタル化した請求書や、取引先からのデジタル請求書を原本として扱えるようにすることです。条件を満たせば、紙の請求書は廃棄できるため、保管の手間やコストも解消できるメリットにもつながります」と語る。
そしてチームは2020年前半から、電子帳簿保存法に対応できる請求書管理システムについて情報精査を開始した。

選択

電子帳簿保存法対応の請求書管理クラウド「Concur Invoice」を採用

チームは最終的に、採用候補を2つの手段に絞り込んだ。一つは社内利用している会計システム(ERP)の機能拡張によって請求書のペーパーレス管理を実現する方法。もう一つが、株式会社コンカー(以下コンカー)が提供する請求書管理クラウドサービス「Concur Invoice」の新規採用であった。
最終的に「Concur Invoice」を選択した決め手について「現場部門が支払伝票データを作成する際、規程チェック機能に基づき内容不備をチェックできる点に優位性を感じました。経理部にとっては、再起票を依頼する手間を減らせるメリットがあります」(橋本)
導入を後押ししたのが、コンカー製品に対する信頼感。アグレックスは2012年に、経費精算クラウド「Concur Expense」を国内ファーストユーザーとして導入している。「経理部も他部門の社員も、コンカー製品のUIや仕様に慣れており、トレーニングなしでも早期定着が見込めました」(三木)
チームの一人、SAP Concur担当部門(当時ネオアクシス)所属の枝光紗穂はこう続ける。「『Concur Invoice』は電子帳簿保存法の要件を満たす製品として認証を受けているので、国税局への申請から承認までの短期化が期待できました。加えて、その時点ですでに、他のお客様に『SAP Concur』に対する電子帳簿保存法の適用をご支援した経験があり、導入プロジェクトを円滑に遂行することが可能であると、提案しました」

導入

規程チェック機能の設定で、支払申請の内容不備を防止

導入プロジェクトは、2020年8月にスタートした。SAP Concur担当部門が、経理部から課題と要件をヒアリングして現状を整理し、「Concur Invoice」の仕様に設定を調整して、要件定義が進められた。
最も時間をかけて話し合われたのが、現場部門が支払伝票データを作成する際に、どのような規程チェック機能を設定するかであった。「以前からよく発生していたのが、選んだ勘定科目や金額によって必須となる情報や、決裁文書の番号が抜け落ちているケースです。また、20万円を超える物品が固定資産扱いになっていないこともありました。当社の会計基準に基づいてひとつずつルールを定め、アラートの表示により修正を促せるようにしました」(橋本)
その後のプロジェクトの基本的な進め方は、経理部の要望に基づきSAP Concur担当部門が設定を実施し、チーム全体で週に一度のペースで使用感を確認していくもの。申請者・承認者・経理部、立場の違う三者の目線から試用し、改善点を洗い出すことを繰り返し、完成へと近づいていった。
SAP Concur担当部門は並行して、「Concur Invoice」と既存の会計システムを連携させるためのデータ連携システムの開発に着手。これは、「Concur Invoice」上に登録された支払伝票の内容を会計システムに自動連携する仕組みで、マスタデータであるユーザ・組織や支払先の連携も実施している。

効果

紙の原本管理にかかわるさまざまな課題を一挙に改善

導入プロジェクトは約5カ月後の2020年12月にカットオーバーを迎えた。一番の改善効果は、デジタル化した請求書あるいは取引先のデジタル請求書を原本として扱えるようになり、紙を扱う機会が大幅に減少し、全社のテレワーク比率の向上につながったことだ。
加えて、経理部および現場の各部門では、紙による制約を受けていた、さまざまなプロセス(下表参照)を省力化・効率化することに成功した。

経理部が実感する導入効果について「以前は、現場で原本取り寄せが間に合わなかった仮提出の請求書を、後日正式版に差し替える作業が大きな負担でした。全体の約8割が仮提出分だったので、作業負荷が減ったのを最も実感できる部分です」(横塚)
他にも、紙の原本をファイリングする作業も不要になり、経理部内だけで150時間(=約1人月)の作業削減が達成された。
現段階では、取引先から紙の請求書を受領した場合、現場部門がスキャナでデジタル化する手順が必要だが「取引先に呼びかけて、なるべく早期に紙をデジタル請求書に切り替えてもらえるよう、お願いしようと考えています。これによって、『Concur Invoice』の導入効果をさらに高められることに期待しています」(三木)

経理担当者

「Concur Invoice」担当者から

今回の社内導入で得られた知見やスキル、導入効果を踏まえ、「Concur Invoice」導入支援サービス及び稼働後フォローにより、お客様の請求書支払業務をご支援します。
設定支援や、会計システムと連携させるデータ連携システム開発、さらには国税局への電子帳簿保存法の申請が可能です。
また、取引先から受領した紙の請求書をまとめてデジタル化したいというニーズに対しては、スキャニングを代行するBPOサービス等、お客様のご要望に沿った稼働後のご支援も実施します。
請求書支払業務のペーパーレス化をご希望のお客様は、どうぞお気軽にご相談ください。

  • SAP Concurは、ドイツおよびその他の国における SAP SE またはその関連会社の商標または登録商標です。
  • 記載されている情報は、取材当時(2021年6月)のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。