コラム
2023年11月30日

契約書の審査・管理を効率化するには?重要性やメリットを解説。契約締結前後のプロセス整備が成功のカギ!

契約業務
DX
プロセス整備

日本でも市場規模を拡大しているリーガルテック。電子契約に関するIT技術をはじめ、AIなどの自動化技術の導入により、企業・法律事務所などの業務を効率化・改善する効果があることが実証されています。

2023年8月には、法務省が企業間の契約書をAIで審査するサービスの指針を公表するなど、企業契約におけるリーガルテック活用ニーズが今後もますます高まることが予想されます。

本コラムでは、契約書の審査・管理の重要性やポイントを解説するとともに、リーガルテックの活用と、契約周辺業務全体を改善・効率化する「契約業務DX」ソリューションをご紹介します。

リーガルテックとは?

リーガルテックとは、法律と技術を組み合わせた言葉です。法律業務や手続きにIT技術を活用し、新たな価値や仕組みを提供することを意味しています。法律業務や契約業務などサービスの利便性や精度を向上させるために開発され、下記のとおりさまざまな種類の製品やサービスが展開されています。

<リーガルテックサービスの種類(例)>
電子契約サービス、文書管理サービス、契約書レビューサービス、申請出願サービス、紛争・訴訟サービス、検索サービス、法律事務所向けサービス

これらの導入で、手作業が大幅に削減できることによる効率化や、人為的なミス削減による業務品質の向上、電子データ化し書類をシステム上で管理することによる安全な管理や検索性向上など、あらゆるメリットが期待できます。

特に契約業務においては、専門用語が多い契約書の審査や膨大な契約書類の適切な管理などに課題をお持ちの企業も多いのではないでしょうか。まずは、「契約審査」「契約管理」を中心に重要性やポイントを解説します。

契約審査・契約管理の重要性

契約審査の重要性

契約審査は、「契約書を法的な視点で検証・チェックすること」です。ビジネスの観点だけでなく、内容が法的に問題ないかもあわせて確認します。

ビジネス間取引で契約書に法的な問題があると、代金の不払いやクレームなどのトラブルに発展するケースも珍しくありません。法律違反に加え、契約書による合意の内容が明確かなど、取引に関する事項を法的な視点からチェックするのも重要な目的です。

企業のリスク管理に欠かせない契約審査ですが、必要であると同時に以下のようなメリットがあります。

・取引の実態に即した契約書が作成できる
・両当事者間の認識の相違を事前に把握し、トラブルを回避できる
・自社にとって不利な条項や抜け漏れを事前に発見・修正提案できる
・契約が無効になることを防げる
・法律に違反するような契約内容でないか確認できる
・企業の信用度の低下を防げる

このように契約審査によって、契約書の作成・理解がスムーズに進められるとともに、取引に関して生じる可能性のあるリスクに対応することができます。

契約管理の重要性

契約管理とは「契約書そのものと、契約書に記載されている契約内容・期日・契約更新時期などの情報を管理すること」です。

契約管理は、事業活動におけるリスクを適切に管理するためにも必要です。契約審査だけでなく、有効期限の管理や、あるべき契約書の締結の有無のチェックといった、適切な締結を担保する機能を持つ契約書の管理は、特に訴訟・コンプライアンスに関するリスクや、情報管理リスクの除去に役立ちます。

また、契約書管理は業務の効率化を図る際にも重要です。企業では、契約内容の見直しの際や、相手とのトラブル等で解除や損害賠償内容の確認が必要になったときなど、過去に締結した契約書を確認すべき場面が定期的に訪れます。

契約書は締結するだけでなく、必要に応じてアップデートしたり、法律に従って適切に管理したりしなければなりません。更新ミスなどが発生してしまうと、企業のイメージダウンや売上の減少にもつながるため、漏れやミスがないように、適切に管理することが大切です。

契約管理がない、あるいは不十分な場合には、次のようなリスクが生じる可能性があります。

・契約書の共有漏れが起こる
・内部統制が不十分となる
・業務効率が下がる
・機密情報が漏えいする

このように、契約管理を適切に行うことで、トラブルやリスクの発生を防ぐ必要があります。

契約審査・契約管理のポイント

契約審査のポイント

契約審査は、法務部門が設置された企業では、まず法務担当者によるリーガルチェックが行われるのが一般的です。法務部門によるチェックの際、法的に難しく判断がつきにくいポイントがあれば、社外弁護士の意見を求めるという手順でチェックを進めていきます。

法務担当者は、リーガルチェックをする際、次のような要点をおさえておくことが必要です。

・契約書内の用語などについて不明点を確認する
・関係する法令や判例を調査する
・自社にとって不利な条項や抜け漏れがないかをチェックする
・関連する契約書との整合性をチェックする
・トラブルを想定した内容にする
・自社の目的や取引の実態に即した内容かチェックする

このようにポイントが沢山ありますが、専門用語や業界用語も多く、法律の定期的な改正など、自社のみで対応し続けることは容易ではありません。また、条項の不足や抜け漏れのチェック、取引の目的や実態に合っているかの確認など、人手による作業にはリスクもあります。

契約管理のポイント

契約書はどのように管理を行えば適切な管理をしているといえるのでしょうか。契約書管理における基本的なポイント3つを紹介します。

・一元管理をする
契約書を一元管理するには、契約管理規程などによる管理方法と責任部署の明確化を行い、一覧性を確保するための台帳の作成や整備が必要です。
さらに、文書データベースを利用するなどして、検索性を高めておくとよいでしょう。検索性を高めて必要なときにいつでも閲覧できるようにして、さらに保管も可能な限り簡単にできるようにしておくと、契約書関連業務の効率性が高くなります。その結果、契約管理規程の遵守もしやすくなります。

・期限管理をする
契約書を管理するにあたっては、「有効期限」と「保存期限」という2種類の期限の管理が必要です。
「有効期限」は、例えば自動更新の契約を更新するかを取捨選択して判断するために必要となります。有効期限の管理をしておかないと、解約すべき契約が自動更新となってしまい、経済的な損失につながるおそれがあります。
「保存期限」は、例えば、法人税法によると、契約書は原則として作成日・受領日の属する事業年度分の申告書提出期限の翌日から7年以上保存することが必要です。これらの保存期限の起算日と、保存期限を管理しておくことにより、業務上必要となり得る契約書の記録を残しつつ、保管する必要のない紙の契約書や契約書データは廃棄・削除できるため、契約書データを保管するコストを適正化できます。

・アクセス制御をする
契約書のアクセス制御は、機密情報である契約書情報を守るうえで重要です。真に業務上必要のある人にアクセス権を限定し、他の従業員などの目に触れないようにします。アクセス権を適切に設定することで、情報漏えいのリスクを低減し、個人情報保護法や機密保持契約への違反を予防することができます。

これらについても、自社で担当者による管理をしていくこともできますが、契約書件数が多い場合など、自前での契約更新・期限の管理やセキュリティ対策は難しく、担当者にも大きな負担がかかります。

契約業務の改善や効率化を実現するには

契約前後に発生するリスク制御のために、契約審査と契約管理が重要であることはおわかりいただけたと思いますが、専門知識や知見不足、人材不足など法務リソースが足りない実態があることも事実です。また人手による作業にはどうしてもリスクが発生します。

そこで、契約審査・契約管理にリーガルテックを活用することがおすすめです。

リーガルテック活用により、業務の効率化ができることに加え、見落としを防ぐだけでなく審査品質の均一化が図れるため審査の質を向上させることができます。

契約締結前後のプロセス整備の重要性

さらに、人手による作業がもたらすリスクは、契約業務だけでなく、契約前後の「営業管理」「販売管理」のプロセスにおいても発生します。

営業管理の重要性

契約締結前のプロセスである「営業管理」では、リードや商談状況を管理し、営業活動データや営業人材のスキルを可視化し、営業プロセスの効率化や最適な人材配置を行っていくことが重要です。

例えば、顧客情報のアナログ管理や、見積書をはじめとする帳票の紙ベースでの管理などにより、これらが会社の資産として蓄積されないリスクがあります。CRMやSFA等の管理システムの導入や適切な活用により、商談状況やステータスを可視化し顧客ニーズを正確に把握することで、新規顧客開拓や確度の高い顧客への優先的なアプローチが可能となり、売上拡大や顧客満足度の向上につながります。

販売管理の重要性

契約締結後の「販売管理」のプロセスでは、契約に基づき請求金額や納期を適切に管理することが重要です。

例えば、紙の請求書や出荷伝票を手作業で管理しているなど、請求金額やサービス提供納期が適切に管理されず、売上の未回収といったリスクに発展する可能性があります。受注・購買・会計などの販売管理をシステム化するだけでなく、それらが全体で最適化されていることで、タイムリーかつ正確な請求および出荷を可能にし、未回収リスクを防ぐことができます。

このように、契約審査・契約管理だけでなく、契約締結の前後を含めた業務全体のプロセス潜むリスクに対処し、改善・効率化していく「契約業務DX」を目指すことが求められます。

契約締結前後のプロセス整備の事例

SFA活用と人的リソース適正配置による営業管理プロセスの効率化

SFAを導入していたもののリードや商談管理などの機能が充分に活かせておらず、また組織として商談進捗を管理する定義や商談フェーズが確立されていないという課題がありました。また、契約管理においては、契約事務の属人化や契約書が適切に管理できていないという課題を抱えていました。

これらの課題に対し、SFA活用のための運用ルールの整備や、商談管理のための営業プロセスの確立、さらにはデジタル化による営業事務・契約事務の適正化を行いました。その結果、新規リード獲得数の約170%増加や、確度の高い商談への注力が可能になったことによる商談成約率の向上と、営業事務領域においては半年で2,700時間の工数削減につながりました。

業務プロセスのオートメーション化による販売管理の可視化

受注・購買・会計などの販売管理システムが個別最適で設計されており、業務全体の最適化ができていないという課題がありました。また、システム化されていても手作業の業務が残っていたり、請求金額や納期などの契約内容が管理されておらず属人的な対応をしているケースがありました。

これらの課題に対し、ERP導入による業務プロセスの効率化や、既存システムへのRPAやワークフローなどのテクノロジー活用による自動化に加え、どうしても残ってしまうアナログ業務にはBPOを活用することで、販売管理全体の最適化につながりました。

さらに、業務ログ取得により非効率業務やコンプライアンス違反の発見ができ、継続的なプロセス改善・効率化が可能となりました。

契約業務DXソリューションのご紹介

前述のとおり、契約締結前後の「営業管理」「販売管理」のプロセスもあわせて改善・効率化していくことが望ましいですが、通常の契約業務を行いながらの改善・効率化は簡単ではありません。そこでおすすめしたいのがアグレックスの「契約業務バックオフィス支援サービス 」です。

株式会社LegalOn TechnologiesのAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」とAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」の導入で、人によるチェックや管理を減らし、契約管理の自動化による品質向上とAI契約審査によるミスや時間の低減と効率化を行い、契約リスクを制御可能にします。さらに、アグレックスの最新技術を活用した周辺業務および社内文書のデジタル化や、CRM・SFA等の企業活動に不可欠な顧客管理システムの導入、請求管理などを行うことで、営業プロセス効率化や契約締結後の適正な請求管理を可能にし、「営業管理」「契約審査・管理」「販売管理」全体の改善・効率化を実現します。

まとめ

企業において、契約リスク制御のため、契約審査と契約管理は重要です。これらを行う法務リソースの不足や人手による作業にはリスクがあり、リーガルテックの活用が注目されています。

また、ここまでご説明したとおり、人手による作業がもたらすリスクは、契約審査・契約管理だけでなく、契約締結前後の「営業管理」や「販売管理」のプロセスにも発生します。契約締結の前後も含めた業務全体のプロセスに潜むリスクに適切に対処し、契約業務全体の最適化や効率化を推進していきましょう。

  • 記載している情報は、記事公開時点のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

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