コラム
2023年10月11日

中国などの海外BPOが「国内BPOに回帰する」可能性。海外BPOの現況は?国内BPOに回帰するメリットは?

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コスト削減のために、海外BPOを活用している企業が多い一方で、海外BPO先として特に人気が高い中国は、地政学的リスクや近年のさまざまなコスト上昇により、そのメリットが薄れつつあります。

中国BPOのメリットが薄れつつある今、注目されているのは国内BPOへの回帰です。

BPOのパイオニア企業であるアグレックスが、「国内BPOへの回帰」を主軸にして、BPOの現況を分かりやすく説明します。

BPOの現況について

矢野経済研究所の調査によると、2021年度のBPOサービス全体の市場規模は、売上高ベースで前年度比3.0%増加しており、2022年度以降も市場は拡大傾向にあると予測されています。

リモートワークの普及・拡大にあわせて、働き方改革やDXの推進を通じた業務変革に取り組む企業が増え、社内人員の再配置を含めた業務オペレーションの抜本的な見直しを加速させていることなどがBPO市場規模の拡大につながっています。

また、市場規模の拡大とともに、市場ニーズも変化しており、業務内容は高度化しています。
10年前は、紙書類の入力作業や事務作業、印刷・封入封緘・発送作業、コールセンター対応など、コア業務から切り分けしやすい作業単位・機能単位のBPOが主流でした。

しかし現在は、これらのBPO機能を複合的に組み合わせて、業務単位で請け負うケースが増えてきています。
各企業の要望も、「○○の作業を依頼したい」という単純なものから、「業務プロセスを改善したい」というような、複雑で広域的なものへと変化しています。

このようなことから、BPO企業では業務受託だけでなくコンサルティング機能も持ち合わせ、顧客業務の全体を捉えて可視化し、業務全体のプロセス改善を提案することが増えてきました。

海外BPOで得られる効果とは?

BPOで得られる効果には、ノンコア業務を積極的に委託することで、自社の従業員がコア業務に集中できるようになる(=業務の効率化)ということもあります。
特に今は、少子高齢化により多くの業界で人材が不足しているため、BPOの需要がより一層高まっています。また、自社の従業員がコア業務に集中し、生産性が上がることは、企業にとっても個人にとっても大きなメリットとなります。

その中でも海外BPOで期待される最も大きな効果は「コスト削減」です。
中国をはじめとする、人件費が安い国に委託することで、高いコスト削減効果が見込まれます。

しかし近年、この効果については変化が起きています。

中国BPOのメリットと懸念点

海外BPO先として、これまで最も注目を集めていたのは中国で、世界一人口が多い国であったことから人材の豊富さと人件費の安さが強みでした。

しかし近年は、中国の人件費が高騰しつつあり、日本とそれほど違いがなくなっており、「安い」という最大のメリットが縮小したことで、BPOを中国ではなく国内の企業に戻そうとする動きが見られています。

そもそも中国は、政府が情報の統制をしている国です。

例えば中国には、「中国サイバーセキュリティ法」という法律があり、インターネットを含む通信、データ保護、セキュリティ対策などの情報セキュリティ分野に関するさまざまな法的義務が規定されています。個人の権利保護・組織のセキュリティ保護だけではなく、「中国国家の安全や公共の利益の保護」を目的にしている点が、特徴的です。
そのため、中国のサーバー・ネットワークに情報を置いておくと、政府が情報を自由に閲覧する可能性、つまりは情報漏洩のリスクがあります。
顧客と定めたセキュリティ基準に沿った運用ができない場合があるほか、日本の個人情報保護法の違反となる懸念もあります。

国内BPOが再注目されつつある

先に述べたように、海外BPO先として突出した人気を誇っていた中国へ、仕事を依頼するメリットが薄れてきたこと、そして、企業のニーズや業務内容が複雑化していることから、国内BPOが再注目されつつあります。

企業に多い悩みは「単品の作業をどうするのか?」よりも、「データを活用したい」「営業事務を効率化したい」といった、広域で複雑なものへ変化しています。

国内BPO企業は、業務受託だけでなく、業務分析や分析結果に基づく業務改善提案も含め実施できる強みを持ち合わせているため、上記のようなニーズにも対応が可能です。

「いつ」「どうやって」国内BPOに回帰するのかが課題となっている

海外BPOからの回帰を望む企業では、「どうやって国内BPOに戻すのか」「いつ国内BPOに戻すのか」「その際のリスクヘッジをどうするのか」といったことが、課題になっています。

カントリーリスクを理由にしたコストアップに踏み切れる企業は少なく、2〜3年ほど足踏みしている印象があります。

企業は、「いかにコストアップを抑えて、リスクヘッジをしたうえで早く国内BPOに回帰するのか?」という点に着目しており、国内BPO企業の手腕の見せどころでもあります。

アグレックスのBPOサービス

アグレックスは、業界や業務における豊富な経験・ノウハウを持つ人材と、独自の運用システムや最新鋭の設備を有しており、「データを活用したい」「煩雑な業務を効率化したい」といった、あらゆるお客様の課題・要望にあわせて、最適なBPOサービスを提供しています。

コンタクトセンター、受付・事務などの業務を組み合わせた提案はもちろん、紙業務のデジタル化やデータ分析、業務プロセスの可視化・改善までお客様業務をワンストップで支援することが可能です。

またアグレックスは、国内に12拠点、海外に子会社を2社設けているので、業務分散による稼働の安定化とBCP対策が可能です。
「コストを抑えつつ品質も維持したい」というお客様には、全体コントロールは国内で行い、ニアショア拠点と海外のオフショア子会社(セキュリティ基準・業務手順はアグレックスに準拠)を組み合わせた業務運用体制の提案も行っています。
海外BPOからの日本回帰において障壁となるコストアップの問題の解決に寄与するほか、多数のBPO実績で培った業務構築力を活かし、さまざまなリスクを考慮したうえでスムーズな業務移管を実現します。

海外子会社「AGREX DNP Vietnam Co., Ltd.」

アグレックスと大日本印刷の合弁会社であるAGREX DNP Vietnam Co., Ltd.は、ベトナム ハノイで日本語データ入力業務を展開しています。
アグレックスと同じセキュリティ基準・業務手順を採用しており、品質・セキュリティ面を担保しながら、国内比50~80%の低価格でサービスを提供しています。
また、アグレックスと業務のシェアリングが可能なため繁閑差を吸収できるほか、有事の際にも安心して事業継続が行えます。

まとめ

以上、国内・海外BPOの現況から、国内BPOの回帰の可能性についてお伝えしました。

カントリーリスクが決して侮れるものでないことを、この数年で強く実感した企業も多いと思います。

「いつ」「どうやって」国内BPOに戻すのかが、1番の悩みどころになっているので、そうしたところを真摯に突き詰めてくれるBPO企業とパートナーシップを結ぶことが望ましいでしょう。

アグレックスは、さまざまな企業の業務を受託してきたノウハウと技術力を活かし、業務とシステムの両面で、お客様のビジネスプロセスの最適化を支援しています。

国内BPOを検討しているなら、ぜひアグレックスにご相談ください。

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