導入事例

保険種別ごとに複雑化した業務プロセスを洗い出し標準化。経営視点の目的意識を現場と共有し、全社横断の改革を実行

きらら保険サービス株式会社様

NTTグループの総合保険代理店、きらら保険サービス株式会社(以下、きらら保険サービス)は、設立から四半世紀が経過して複雑化・属人化した保険業務プロセスの改革に着手した。データを利活用するDXで顧客対応品質を向上させることを目標に、アグレックスをパートナーとして全社横断の業務改革に挑んでいる。


課題
  • 保険種類ごとに業務プロセスが複雑化・不透明化し、顧客本位のサービス品質強化が困難
  • 業務が個別最適され、全社視点での改善が行われていなかった
  • 顧客情報や契約ステータスなどの情報が分断し、迅速な問い合わせ対応の障壁に
  • 紙に依存した業務が多く、ヒューマンエラーやインシデントリスクを内包
解決
  • 組織の壁を越えた標準プロセス作成により、不透明部分を解消
  • 全社視点での改革のため、経営層の意向や事業の状況・方向性を可視化し各組織と共有
  • データの一元管理が可能となり、顧客対応力が向上
  • 工程管理のペーパレスを実現し、インシデントリスクを排除
導入したソリューション・サービス
お客様情報
本社 東京都港区芝浦1-2-1
設立 2001年
事業内容 損害保険代理事業、生命保険の募集に関する業務、生・損保に関わる受託業務
URL https://www.ki-ra-ra.jp/

背景

DXを見据え、不透明化した業務プロセスの標準化・統一化を計画

きらら保険サービスは、NTTグループの社員約34万人およびその家族を対象に、12社の保険商品により“安心・安全”を提供する総合保険代理店。同社は設立から約25年が経過し、保険募集および各保険会社への取次業務プロセスに課題を抱えていた。

取締役の齋田宜邦氏はこう説明する。「生命保険・損害保険・自動車保険・法人向け保険の各現場は、それぞれ個別に業務最適化に取り組んできました。その結果、各現場で業務プロセスの複雑化・属人化が進行。また、いずれの現場も保険業界で習慣化している紙に依存した業務が多く残っている状況でした」。

この状況がもたらした一番の影響が、保険の種類による情報の分断であった。業務変革室の龍野哲平氏はこう説明する。「たとえば、カスタマーサポートセンタで自動車保険に関する問い合わせ応対中に、そのお客様から加入手続き中の生命保険の質問をされたとき。現行システムでは一部情報連携に制約があるため、別の担当者から折り返し連絡せざるを得ませんでした」。

また、紙ベースでの業務による課題として、担当者間で書類の引継ぎ漏れや遅延などの人的ミスが発生するリスクも内包していた。「業務品質を高め、“お客様本位”のサービスを提供することは我々の最も大切な使命です。しかし、保険種目でビジネスプロセスが異なり、不透明化が進んだ状態では、そもそも顧客本位の業務運営ができているのか、品質を判断できない状態でした」(齋田氏)。

龍野氏は、改革の必要性についてこう続ける。「プロセスを共通化して統合したデータを、業務変革およびお客様のCX向上に役立てる。現場主導でDXを加速させ、組織文化そのものを変えていくことが、改革の当面のゴールであると考えました」。

選択

段階を踏んで、DXに適した業務プロセスへと改革するアグレックスの手法を評価

今回の業務改革は、保険業務に携わる大勢の社員が関わる大きな挑戦。それまで、全社横断での業務改革プロジェクトの経験がなかった同社は、外部パートナーの協力を仰ぐこととした。「我々が“手順をこう変えるべき”と現場に伝えても、客観性に欠けると受け取られがちです。社外の知見を持ったパートナーと組む方が、変革を進めやすいと考えました」(龍野氏)。

複数社を比較検討する中で、パートナーに選ばれたのがアグレックスだった。大きな決め手のひとつが、業務改革メソッド“BPM-QuickWin”によるアプローチであった。「BPM-QuickWinサービス」は、全社戦略に基づき、組織を横断した会社全体の業務プロセスを5段階で階層別に可視化し、全体最適に向けた業務改革を実現させるサービス。全社横断での業務プロセス改革においては、経営層の意向や事業の状況・方向性を可視化したうえで、これを各組織と共有し、同じ目標に向かって進むことが成否の鍵となる。

アグレックスの具体的な提案は、プロジェクト全体を、1:As-Is(現状)分析、2:To-Be(あるべき姿)設計、3:システム実装の3つのフェーズで進めるというもので、「BPM-QuickWinサービス」はビジネスプロセスのAs-IsとTo-Beを設定する重要な役割を担う。

龍野氏はアグレックスの優位点をこう説明する。「他社がシステム導入を前提とした提案だったのに対し、アグレックスはビジネスプロセスの最適化を最優先した提案内容。我々も、現行業務プロセスが不透明化しているという認識があったため、まず現状をしっかり可視化するという提案は非常に共感できました」。

そして、DXを見据えた業務プロセスを設計する提案力も評価され、アグレックスが業務改革のパートナーとして選定された。

分析

業務プロセス統一化のために約20回のヒアリングを実施

フェーズ1の開始に先立って、アグレックスはまず、きらら保険サービスの経営課題や事業の方向性について、経営層からレクチャーを受けることから始めた。「最初に、我々と同じ視座で目的意識を共有してもらったからこそ、事業目標達成のためには“業務プロセスの標準化・統一化が必要”というゴールが設定できたのだと思います」(龍野氏)。

フェーズ1の「As-Is(現状)分析」の進め方について、業務変革室の山本将義氏はこう説明する。「アグレックスには、約4ヶ月で計20回ほどヒアリングを実施してもらいました。対象は、各業務の実務担当者や業務管理者です」。そこで得た情報を「BPM-QuickWinサービス」で整理・分析し、4つの主要保険領域それぞれの業務フロー図が作成された。

このフェーズ1の最大の成果は、統一化のベースとなるプロセスをすべて洗い出せたこと。加えて、“どの部分が紙に依存し、データ分断が起きているか”も可視化された。「それまで、業務全体のフロー図は存在せず、部分的なマニュアルや属人的な知識にとどまっていました。それを初めて、“一枚の絵”として課題点を可視化することができました」(龍野氏)。

設計

現場の理解を得ながら、データを軸とした「あるべき業務プロセス」を設計

そして、次のフェーズ2では、部署の壁を越えて標準化・統一化されたプロセスの「あるべき姿(To-Be)」を描くことが目標となった。

この共通化により、契約者情報管理や契約・作業の工程管理を支えるDX基盤の導入が可能になり、業務品質向上につながる。

アグレックスは、各現場で行われている個々の業務プロセスが「何を目的としたものか」に着目。現場によって異なる業務の呼称や手順を分析して、共通化できるようにプロセス設計を行った。

この標準化にあたり、現場からは「そもそもなぜ統一化しないといけないのか?」という意見が出ることもある。業務変革室の久保順一氏はこう語る。「現場で何年も同じ業務を担当していると、今のやり方が正しいという意識になりがちです。それでも、何とか理解してもらうために説明を尽くすことは、なかなか容易ではありません」。

アグレックスは、事前にレクチャーを受けた経営層の意向や、事業の現状と方向性を可視化し、共有することで、現場の理解を促していった。「標準化・データ化することでDXに結びつくというメリットを粘り強く説明することで、合意形成を図っています」(久保氏)。

フェーズ2が中盤に入った頃、あるべき姿(To-Be)の業務フロー図が、会議室の壁に貼り出された。役員から実務担当者まで、関係者全員が、このフロー図を見ながら議論しているという。「我々だけで進めていたら、ここまでフロー図をかたちにできなかったでしょう。そもそもこういう手法で進めようという発想もありませんでしたし、ヒアリングもアグレックスが参画したことで、より円滑に進んだと感じています」(山本氏)。

展望

業務改善のサイクルを回し続ける改革パートナーとして期待

プロジェクトのフェーズ2終盤、「DXグランドデザイン」の策定も実施された。これは、保険契約者に紐づくすべての情報および契約に必要な工程を管理するDX基盤や、データを現場で利活用していくための具体的なソリューションやツールの構成を定めたものとなる。「会社全体に、事業や作業のデータを開示することを想定しています。このデータは、お客様への対応品質向上だけでなく、新たなサービス開発に役立てることもできるでしょう」(龍野氏)。

そしてフェーズ3では、「システムの実装」が目標となる。大規模プロジェクトになることが予想されるため、改革の目標を熟知しているアグレックスにはPMO的な役割も期待されている。

最後に龍野氏は、業務改善の取り組みに終わりはないと強調する。「今回のプロジェクトが完了後も、定期的にAs-Is(現状)の業務プロセスを分析し、次のTo-Be(あるべき姿)を描くサイクルを回し続けることが重要です。この活動を全社に根付かせるため、引き続きアグレックスには改革に伴走してもらえればと思います」。

お客様の声

この業務改革は、現場の長年の慣習を変えるため、丁寧な合意形成が求められる取り組みです。「なぜ変える必要があるのか」「今のやり方で問題ない」といった声も多く聞こえてきます。

そうした中で、アグレックスのメンバーは、我々の事務局の一員として、現場への説明に取り組んでくれて大変心強く感じています。徐々にではありますが、改革への理解が広がっていることを肌で感じています。まだ道半ばですが、同じ目的意識を持つアグレックスとなら、必ず目標を達成できると確信しています。

アグレックス担当者から

全社横断のプロジェクトが順調に進行しているのは、お客様チームとアグレックスの全員が、同じ目的意識を共有できているからこそだと思います。プロジェクトが始まる際、経営層の皆様から事業課題やビジネスへの危機意識をお聞かせいただいたことで、「全社一体となって品質向上、情報連携、効率化を進める」という目的を心に刻むことができました。

今後も原点を見失うことなく、アグレックスならではの“メソッド”と“実行力”で伴走いたします。

  • 記載されている情報は、取材当時(2025年10月)のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

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