導入事例

実業務をBPMで改革推進。ビジネスプロセスの“理想の姿”をアグレックスと共創

はなさく生命保険株式会社様

はなさく生命保険株式会社(以下、はなさく生命保険)は、乗合代理店およびダイレクトマーケット向けの商品供給を主軸とする生命保険会社として2019年4月に開業。機動的な商品開発等により、ご契約件数が増加。関連する業務の効率化が経営課題となっていたため、ビジネスプロセス改革に取り組んだ。

導入したソリューション・サービス
お客様情報
本社 東京都港区六本木三丁目二番一号 六本木グランドタワー18階
設立 2018年
事業内容 生命保険業
URL https://www.life8739.co.jp/

背景

社員自らの手でプロセス改革を推進するために

はなさく生命保険は、2019年4月の開業以来、保険契約者から受領する申込書の不備確認作業の負荷が、年々増大の一途にあった。これは、代理店経由で送られてくる新規申込書や口座振替依頼書に不備がないかをチェックし、問題があった場合は再提出を依頼するというもの。

CS戦略部の牧野匡博氏はこう説明する。「社内だけでは人手が足りず、契約関連業務(契約の申し込み、変更、解約)やコールセンター業務(問い合わせ、加入促進)は、アグレックスのBPOサービスを活用して対応してきました。しかし当社の新規契約件数は初年度の約7万件から2022年度は約17万件へと急増、今後も増加を見込んでいます。作業効率を改善しないと、従来の体制では対応できなくなることは明らかでした」。

そんな折、2023年夏にBPOのパートナーであるアグレックスから、ある新しい施策の紹介を受けた。それは、現場の社員が業務改革で必要となる知識・スキルを学びつつ、ビジネスプロセスの改革案を共創型のワークショップで作成する、「プロセス変革チャレンジ」。

「業務改革やDX推進の未経験者であっても、アグレックスが伴走し構想案の作成を支援する点が今後の業務改革に向けても、非常にタイムリーな提案でした」(牧野氏)。

実際のビジネスプロセスの課題をテーマとして、具体的な改善策を作成する点にも魅力を感じたという。「外部の会社にプロセス改革を手伝ってもらっても、実際の業務にフィットしにくい“きれいな提案”で終わりがちです。社員自らの手で、実際の業務課題解決に取り組むことが重要で、実現性が高い改善策を見つけられると期待してこの提案を採用しました」(牧野氏)。

準備

日常的な業務課題の中から改善に取り組むテーマを選出

こうして「プロセス変革チャレンジ」の利用が決まり、メンバーには将来の担い手となる若手6名が選出された。その一人、CS戦略部の紺野真代氏はこう語る。「これまでは、業務に課題があっても、どこから手をつけるべきかで悩んでいました。共創ワークショップへの参加は、業務改革の進め方を知るよい機会だと思いました」。また同じくメンバーに選ばれたCS戦略部の秋場美歩氏は「それまでアグレックスに対しては、BPOの事務センター的なイメージしか持っていませんでした。このようなプロセス改革の施策まで提案してくれる会社だと知って驚きました」と振り返る。

2023年10月から11月にかけて、延べ7回総40時間程度のワークショップの予定が組まれ、アグレックスのビジネスプロセス最適化およびモデリングに精通したメンバーが参加し、改革構想と構想を具現化するシステム実装モックアップの作成を伴走した。

初回のワークショップに先立って、各メンバーは業務課題の洗い出しに着手。この時、アグレックスは他社の業務効率化事例に基づいて、テーマとしてふさわしい課題の選択をアドバイスした。

そして2023年10月、アグレックスの本社(西新宿)で第1回ワークショップを開催し、メンバーが持ち寄った課題の中からテーマが2つ選択された。その一つが、BPOパートナーや保険代理店との間で頻繁に発生する報告作業を効率化すること。もう一つが、連動していない複数のシステムを利用したり、システム自体に機能が備わっていないことにより発生している手作業の事務を削減することであった。

整理

ビジネスプロセスをフロー図に書き起こして問題点を究明

続く第2回ワークショップでは、業務のフロー図を作成し、現状と課題を可視化することとなった。

世界標準のフロー表記法であるBPMN2.0によるフロー図作成が大きな特徴となっている。BPMN2.0では、決まった種類のアイコンやラインを組み合わせてビジネスフローをモデリングしていく。世界共通ルールのため、このフロー図によって誰でも業務の流れを理解できるメリットがある。

  • BPMN2.0:Business Process Model and Notationの略。ビジネスプロセスモデリング表記法。

この第2回ワークショップに先立ち、各メンバーがeラーニングでBPMN2.0の基礎を学習し、対象業務のフロー図作成にチャレンジした。紺野氏はこう振り返る。「頭では業務の流れを理解していても、それを図に表すのは難しいことでした。細かく決まったルールを守りながらフロー化するのも大変でした」。

そしてこのフロー図に“どこにどんな問題があると思うか”を書き加え、当日のワークショップの場で提出。両社の参加者が一体となって、“なぜこの作業が必要なのか”“なぜこのような手順になっているのか”といった視点で掘り下げていった。

秋場氏はこう語る。「改めて“なぜ社内システムは機能が少ないのだろう”と考えてみると、新しい会社なので、ミニマムなシステムで始めることで、まずは速いスピードで商品供給することを目指していこうという経営方針だったと分かりました。このように目先の課題だけにとらわれず、経営的目線に立つことは、その後の構想段階でとても役立ちました」。

構想

アグレックスメンバーと理想的なビジネスプロセスの姿を共創

その後、ワークショップの中盤から終盤にかけては、選択した課題が解決された理想的なビジネスプロセスを構想することが目標となった。

この時のアグレックスのメンバーの支援について秋場氏は印象をこう語る。「あるメンバーは、システム系にとても明るい方。作業の自動化を考えるにあたっては、過去の他社事例に基づいて、どのようなツールを使えばよいかといったヒントをいただきました」。

また紺野氏は、アグレックスとの共創関係についてこう語る。「アグレックスの方はプロセス改善のアイデアが豊富で、実務を担当している私たちよりも詳しいほど。一緒に活動するうちに、『ノウハウを吸収したい』という気持ちも生まれてきました」。

そして、業務課題の解決に向けた構想案が完成。BPOパートナーの権限を拡大して報告回数を減らす、また既存の社内システムを高機能化するとともにRPAによる自動化を組み合わせるといった具体案が盛り込まれた。こうした改善策により、業務によっては、約6割の作業時間の削減により、年間4,000万円以上のコスト削減効果が出るという試算がされた。

成果

積極的に業務改革に臨むマインドへと変化

そしてワークショップの集大成として、2023年12月に構想発表会が開催された。はなさく生命保険の社長をはじめとする経営層に向け、自分たちがつくり上げた構想案をプレゼンテーションする場となった。

この日に向けてアグレックスは、構想案に盛り込んだ新システムのモックアップ画面を開発した。秋場氏はこう説明する。「書類の不備内容に応じて、再送依頼文を自動作成するメニュー画面のモックアップです。文字や言葉による説明だけでなく、画面を見てもらうことで、どのように改善されるかが伝わりやすくなったと思います」。

牧野氏は構想発表会を終えてこう振り返る。「終了後に社長とも話しましたが、現場の人間が感じている業務課題を経営層に知ってもらうよい機会になりました。これからの構想案の具現化については、経営層の判断を仰ぎつつ計画を進めていきます」。

ワークショップを終えたメンバーは、得たものをこう語る。「これまでシステムに機能を加える時は、社内の開発チームに任せきりでした。今後は『ここをこのように変えてほしい』と具体的に伝えて、積極的に関わっていきたいと思います」(秋場氏)。また紺野氏は「現状や課題を論理的に整理する手法を学んだことは、大きな財産になりました。これまでの受け身の姿勢から、自分で課題を解決していこうという前向きなマインドに変わってきたと思います」と口にする。

最後に牧野氏は、今回の「プロセス変革チャレンジ」を振り返ってこう締め括る。「初めてBPMN2.0を勉強し始めた頃は、ワークショップ後のミーティングで全員が暗い顔をしていました(笑)。でも、自分の業務を改善したいというモチベーションと、アグレックスの伴走に支えられ、全員が成長しながら完走することができました。今回学んだことを業務改革やDXに活かしてほしいと期待しています」。

お客様の声

これまでアグレックスには、BPOの委託だけでなくコールセンターや事務センターの創設にも相談に乗っていただきました。今回「プロセス変革チャレンジ」を利用して、改めて単なる協力会社ではなくビジネスパートナーだという思いが強くなりました。

今回のプロジェクトだけですべてを習得するのは難しいと思いますので、今後もアグレックスにはこのような有意義な施策を提案いただきたいと思います。

アグレックス担当者から

よい改善策の構想には、さまざまな視点が必要です。多くの企業の業務改善に取り組んできたアグレックスのメンバーが伴走することで、客観的な判断のお役に立てたのではと思います。

今回実施させていただいたバックオフィス領域におけるプロセス変革に留まらず、アドバンスドソリューションにおける変革チャレンジの構想も伺っております。我々もはなさく生命保険様が定義する「ニュー・インシュアランス・クリエイター」の一員になれるよう尽力します。

最後に、アグレックスは数々の保険業務を実施してきたノウハウを基に、「プロセス変革チャレンジ」を通じて、広く保険業界のお客様と新たな価値を共創していきたいと考えています。

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  • 記載されている情報は、取材当時(2024年2月)のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。