導入事例

Salesforce®を活用し営業部門の情報共有を活性化させ、組織的な営業スタイルを実現

ユーザー数500人規模での Salesforce利用の定着が実現
AGC株式会社 化学品カンパニー様

基礎化学品からフッ素系高機能化学品まで多彩な事業をグローバルに展開するAGC株式会社(以下、AGC)の化学品カンパニーは、2015年にSalesforceが提供する「Force.com(現:Customer 360 Platform)」を導入することで、ウィークポイントであった営業部門の情報共有の課題を克服した。
その後の数年間にわたる組織への定着、利用拡大の取り組みについて、企画段階から事務局として携わってきた藤原慶一郎氏に伺った。

課題
  • 組織内の情報共有が不十分であった
  • 情報管理DBは存在していたが形骸化していた
解決
  • Salesforceの導入による情報共有プラットフォームの統一化
  • Salesforce利用の定着化推進
導入したソリューション・サービス

“身近なコンサル”の素養を備えたアグレックスをSalesforceの構築パートナーに選定

AGCの化学品カンパニーの営業体制は、2014年以前は“情報武装”がされていない状況にあった。同社 化学品カンパニー 企画管理室 情報システムグループ 兼 基礎化学品事業本部 販売管理グループのマネージャーを務める藤原 慶一郎氏は、「たとえば営業担当者がお客様を訪問した際も、その情報は、上長への口頭報告やメールでの関係者通知で済まされることが多く、組織内に情報が“資産として”残らない状況だった」と振り返る。
もちろん、それまでもITを活用した情報共有への取り組みがなかったわけではない。営業情報を一元管理するデータベースは導入していたのだが、そこに情報をきちんと残す担当者は一部で、実質形骸化してしまっていた。
そこで、チームワークを重視した営業スタイルを確立すべく導入を決めたのがSalesforceだ。「営業部門のメンバー全員で運用をしっかり回していくためには、ツール丸ごと環境を刷新するのが早道と考えました。そこで主要なSFA/CRM製品を比較検討した結果、拡張性や汎用性を含めた総合力で頭一つ抜き出ていたのがSalesforceでした」と藤原氏は語る。そして、構築パートナーとして、セールスフォース・ジャパン社から紹介されたアグレックスを採用した。
システム刷新の前段階として化学品カンパニーでは、自分たちの営業活動のウィークポイントがどこにあるのか、半年をかけて分析を繰り返し、それをSalesforceでどのように改善するのかという方針を固めていった。ただ、その「解」は独善的になってしまう懸念もあり、より広い視野からさまざまなアドバイスや選択肢を提案してくれる“身近なコンサル”の素養を備えたパートナーを探していた。藤原氏はアグレックスに対し、「アグレックスは、そんな距離感にぴったりあったベンダーだと感じて選定しました」と語っている。
2014年8月にSalesforce導入プロジェクトをスタートさせたが、上述のように、前段階で従来システムのボトルネック分析や新システムのあるべき姿が検討できており、新システムに必要な要件が内部で固められていたこともあって、その後約半年で構築から運用テストまですべてのプロセスを完了させることができ、2015年1月より本番稼働を開始した。

トップダウン、ボトムアップの両輪でSFA定着化施策を継続したことが成功の要因

Salesforceを導入して5年以上が経過し、現在のSalesforceのユーザー数は700人超に拡大しており、「組織内の情報共有を活性化させるという当初の課題はかなりのレベルで改善されています」と藤原氏は評価する。Salesforceには商談の交渉履歴のほか各種資料なども蓄積されており、たとえば顧客から得た断片的な情報をもとに、過去の類似案件や関連情報を検索することもきわめて容易になった。
もちろん、現場のユーザー任せでは、現在のように定着させるのは難しい。「どんなツールも運用次第です。一部の人が使うだけでは効果は期待できません。事業の一環として全員で使っていくという土壌を整えることがなによりも重要です」と藤原氏はあらためて語る。
実際、導入して3-4 ヶ月は営業部長自らが旗振り役となり、事あるたびに各営業部門へ利用促進の働きかけを行ったという。一方で運用事務局メンバーも、ユーザーがSalesforceを使いたくなるための工夫や仕掛けづくりを積極的に行ってきた。ここで力になったのが、アグレックスのノウハウやスキルだった。たとえばChatter機能の有効活用、得意先に紐づく活動情報の共有、名刺管理サービスとの連動による顧客名刺情報の自動入力、定期的なアンケート結果を反映させた画面レイアウトのカスタマイズといったことだ。こうしたトップダウンとボトムアップの取り組みを展開、Salesforceの活用がカンパニー全体に広がっていった。
「ユーザーから寄せられるレイアウト変更などの要望をアグレックスに相談すると、私たちの意図を咀嚼し、スピーディに反映してくれました。Salesforce自体の柔軟性もさることながら、それを生かせたのは私たちの業務を深く理解してくれているアグレックスの力だと感じています。導入の初期段階から、保守体制を構築し、改善サイクルを回し続けてきたことが、大きな成功要因です」と藤原氏は評価している。

周辺クラウドサービスの積極活用を推進し、エコシステム化を実現

アグレックスの提案により、複数のクラウドサービスを組み合わせたシステム構築にも積極的に取り組んできた。
Salesforce導入後3年目頃から、商談機能の拡張ニーズが高まったのを機に、要件定義と並行してツール導入の検討をはじめ、2017年3月から、ウイングアーク1st社のVyNDEXの利用を開始した。
こちらは各ビジネスユニットにおいて、主に案件管理を行う約30名の営業担当者を対象とするものだ。VyNDEXを利用すれば、使い慣れたExcelをユーザーインターフェースとしてSalesforce上のデータを直接参照・追加・編集することが可能なため、担当者の操作性を大幅に改善でき、かつ最新の正しいデータは常にSalesforce内にある。「このVyNDEX採用は正解で、Salesforce上での案件管理に行き詰まりかけていた営業部担当者は、一斉にVyNDEXを使い始めました」と藤原氏は語る。

Salesforce活用における今後の展望マーケティングオートメーションとの連動も視野に

化学品カンパニーでは、今後もSalesforceの利用拡大を進めていく計画だ。大きなテーマとして位置付けているのは、事業の可視化や戦略立案へのSalesforceの活用である。具体的には各案件をパイプライン化し、進捗をタイムリーに管理しながら、成約率を高めていく。「単に数字を見るだけでなく、本当の意味でのデータドリブンの事業運営を実現することが目標ですが、まだそこまでは到底至っていません。また2018年からは、マーケティングオートメーションの取り組みも一部のビジネスユニットで開始しており、Salesforceを一体運用していく計画です」と藤原氏は語り、アグレックスとのパートナーシップをさらに深め、化学品カンパニーの競争力強化を図っていく。


お客様情報
社名 AGC株式会社 化学品カンパニー
所在地 〒100-8405
東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング
事業沿革 AGCの化学品事業は今からおよそ100年前、板ガラスの原料であるソーダ灰を自給することから始まった。この流れを汲むAGC化学品カンパニーは、カンパニービジョン“Chemistry for a Blue Planet ” のもと、基礎化学品からフッ素系高機能化学品まで、多彩な製品を提供し続けている。
URL https://www.agc-chemicals.com/jp/ja
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  • 記載されている情報は、取材当時(2019年12月)のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。