
時代を超えて“ご縁”を結ぶ。龍谷山 本願寺(西本願寺)、ホスピタリティの一歩先を行く接遇をSalesforceで実現
浄土真宗本願寺派の本山、龍谷山 本願寺(以下、西本願寺)はご廟所「大谷本廟」の参拝者受付システムの刷新を計画した。その目標は、デジタルの力を借りて、はかりしれない“み教え”や心のあり方である“信仰”により深く向きあえる場をつくりたいという壮大なもの。パートナーとなったアグレックスは、お寺特有の文化や言葉の壁を越え、伝道布教に貢献するデジタル基盤をともに築きあげた。
- 参拝者一人ひとりの“ご縁”の深さに応じた、きめ細やかな応対が困難
- 単なるシステム構築では、お参りされる門信徒一人ひとりの想いに応える接遇ができない
- 20年の運用で業務が複雑化し、整理とスリム化が急務
- Salesforceにより“ご縁を可視化”し、きめ細やかな対応を目指す
- 現場体験や「お寺の言葉辞書」作成を通じて、特有の文化や慣習の壁を乗り越える
- 帳票を約5割削減、紙と判子に依存した業務をペーパーレス化


| 所在地 | 【西本願寺】京都府京都市下京区堀川通花屋町下る本願寺門前町 【大谷本廟】京都府京都市東山区五条橋東6丁目514 |
|---|---|
| URL | https://www.hongwanji.kyoto/ |
背景
お寺らしい“お互いの顔が見える”接遇を目指して
宗祖親鸞聖人のご廟所(墓所)大谷本廟は、全国の門信徒にとって心の依りどころとなる特別な場所。「墓地と納骨壇を合わせて四万を超える方々とのご縁をいただいており、先祖代々のご縁を大切に受け継ぐ多くの方が、日々お参りにいらっしゃいます」(四條達彦氏)。
大谷本廟の受付システムは、約20年前に導入されたものだった。しかし、懇志の受領証発行など事務の効率化に特化した仕組みであり、「もっと一人ひとりの門信徒に寄り添いたい」というお寺の思いとの間に、少しずつ距離が生まれていった。
西崎浄亮氏はこう振り返る。「足を運んでくださる方々は、深い悲しみの中にある方もおられれば、喜びを報告に来られる方もいらっしゃいます。以前の仕組みでは、目の前の方のお気持ちまでは汲み取れないと感じていました」。何度も足を運んでくださる方に対しても、これまでのご縁を即座に知る術がなく、一律の対応になってしまう。また、担当者が変わると、個人が培った情報を引き継ぐことができない。このもどかしさが、新たな一歩を踏み出すきっかけとなった。
「私たちが求めたのは、単に管理のための効率的な仕組みではありません。デジタルの力を借りながら、“み教え”に向き合い、一人ひとりの方と心を通わせるための仕組みをつくるという、壮大な夢でした」(四條氏)。
選択
“寄り添う姿勢”が決め手となってアグレックスをパートナーに選定
この目標に向け、ITパートナーに選ばれたのがアグレックスである。熊谷俊哉氏は、選定の理由をこう語る。「我々本願寺のチームは組成されたばかりで、ITの専門家ではありませんでした。さらに20年前の旧システムは仕様書も残っておらず、何を継承し、何を刷新すべきか、手探りの状態でした。そんな私たちに、アグレックスはITの専門用語を並べ立てるのではなく、言葉に耳を傾けようとする姿勢、そして何より本願寺の目標に共感し、伴走してくれる安心感が決め手でした」。
新たな基盤として、プロジェクトチームが選定したSalesforceの採用が決定。「2018年に宗派の直轄寺院である、東京の築地本願寺での採用実績が決め手になりました。クラウド型であり、時代の変化に合わせて機能がアップデートされていく柔軟性も大きな魅力でした」(建部真道氏)。
導入1
お寺が大切にする“言葉と心”を理解し、システムの細部に宿す
プロジェクト初日は、本願寺の境内を巡ることからスタートした。アグレックスのメンバーが、数々の国宝や重要文化財に触れ、お寺の空気を肌で感じる。この体験が、目指すものの根幹を理解し、心の距離を縮めるうえで非常に重要だったという。
まず着手したのは、お寺が大切にしてきた言葉と心を、深く理解することであった。「懇志(こんし)」「永代経(えいたいきょう)」といった言葉の背景にある精神性を汲み取るため、アグレックスは独自の“お寺の言葉辞書”を作成し、開発を担当する技術チームと共有した。
光森宏明氏は、アグレックスとともに歩んだ時間をこう振り返る。「目標は、単に正確なデータを閲覧する仕組みの構築ではありません。門信徒に『お参りに来てよかった』と心から思っていただけるような接遇を、デジタルの力でどう実現していくか。その本質的な問いを、アグレックスの方々とともに追求できたことに意義があったと感じています」。
導入2
時代を超え“ご縁の糸”を結ぶ仕組みを構築
今回構築した受付システムは、ご本人の参拝履歴だけでなく、ご家族やご先祖、お知り合いなど、時代を超えた“ご縁”の可視化を最終目標とした。
「画面を確認することで、例えば『昨年の三回忌はご親族の皆様とお越しでしたね』のように、お寺らしい温かな言葉を自然とかけられるようにしたいと考えました。また、お父様が熱心な門信徒様であれば、ご子息も仏法との関わりが深い方かもしれない、といったことが推測できるように。デジタルという道具を、職員の記憶を助けるだけでなく、お一人おひとりの背後にある物語を映し出す“窓”として活用しようという考えです」(建部氏)。
また、今回のシステム刷新にあたって受付業務自体を見直し、門信徒に向き合う時間を生み出す工夫も行われた。「実際には使われていない手続きの申請書や確認書などの帳票画面を見直し、約50種類あったものを半分にまで減らしました。また、紙と判子に依存していた回覧・承認の電子化も進め、接遇の時間を創出することを目指しました」(教山唯信氏)。
成果
対話で築いたアグレックスとの揺るぎない信頼関係
約2年に及んだプロジェクトは、本願寺メンバーとアグレックスチームが膝を突き合わせ、志を一つにする深い信頼関係のもと進められた。「足繁く通っていただき対話を重ねる中、すべてを説明しなくても意図を細かく汲み取っていただける関係を築くことができたと感じます」(建部氏)。
今回の仕組みが完成したことで、誰が対応しても等しい接遇を提供できる体制が整った。「大谷本廟は365日、多くの参拝者をお迎えします。初めての方にも、何度も足を運んでくださる方に対しても、お一人おひとりと心が通う接遇ができるようになったと実感しています」(月嶹教佑氏)。
また、柱松泰史氏はアグレックスに対する印象をこう続ける。「アグレックスの方々は、私たちの想いを決して否定せず、境内の空気感を共に分かち合ってくださいました。本音の語り合いを通じて築いた信頼関係は、かけがえのないものです」。
展望
デジタルを架け橋として“ご縁”をつなぎ、伝道布教の未来へ進む
そして次は、本願寺と大谷本廟の情報一元化に挑む。「大谷本廟にはよくご参拝されていても、本願寺に来られるのは初めてという方もいらっしゃいます。そうした方にも、『いつも大谷本廟へお参りいただきありがとうございます』と、場所を超えて心のこもった言葉で接遇ができる世界を目指します」(柱松氏)。
本願寺で構築するシステムは、今回の仕組みをベースとしつつ、本願寺特有の業務に対応できるよう反映していく計画だ。「本願寺も大谷本廟も、接遇を大切に思う気持ちは同じですので、システムの多くを共有できると見込んでいます」(柱松氏)。
今はまだ「未来へ続く一歩」だと四條氏は言う。「もっとお互いの顔が見える、お寺らしい接遇のあり方を追求していきます。“み教え”や“宗教”といったはかりしれない世界において、デジタルの力を借りることで、伝道布教の新たな可能性を見つけていきたい。アグレックスにはこれからも、同じ志を持つパートナーとして、伴走していただきたいと願っています」。
お客様の声

龍谷山本願寺
参拝教化部<大谷本廟担当>
部長
四條 達彦氏

龍谷山本願寺
参拝教化部<大谷本廟担当>
西崎 浄亮氏

龍谷山本願寺
参拝教化部<大谷本廟担当>
建部 真道氏

龍谷山本願寺
式務部 兼 内務室<財産管理担当>
本願寺DX推進プロジェクトチーム
柱松 泰史氏

龍谷山本願寺
内務室<財産管理担当>
本願寺DX推進プロジェクトチーム
光森 宏明氏

龍谷山本願寺
式務部 兼 内務室<財産管理担当>
本願寺DX推進プロジェクトチーム
月嶹 教佑氏

龍谷山本願寺
式務部 兼 内務室<財産管理担当>
本願寺DX推進プロジェクトチーム
教山 唯信氏

龍谷山本願寺
内務室<財産管理担当>
本願寺DX推進プロジェクトチーム
熊谷 俊哉氏
特に感謝しているのは、コミュニケーションの密度の高さです。プロジェクト期間中は、オンラインによる定例ミーティングに加え、週に一度は必ず対面で打ち合わせの機会を設けてくださいました。大阪という距離の近さもあって、フットワーク軽く駆けつけてくださる安心感は抜群でした。
時には、業務後の懇親の席で本音を語り合うなど、人と人のつながりを大切にしながら「共につくり上げる」という関係性を築けたのが、プロジェクト成功の大きな要因だと確信しています。この強い絆を土台に、今後もさらなるご支援を期待しています。
アグレックス担当者から

株式会社アグレックス
デジタルトランスフォーメーション事業本部
クラウドソリューション事業部
西日本クラウドソリューション部
マネジャー
足立 樹哉

株式会社アグレックス
デジタルトランスフォーメーション事業本部
クラウドソリューション事業部
西日本クラウドソリューション部
主任
植田 達郎

株式会社アグレックス
デジタルトランスフォーメーション事業本部
クラウドソリューション事業部
西日本クラウドソリューション部
西野 真帆
大谷本廟でご利用いただく、重要なシステムの一端を担えたことを大変光栄に思います。プロジェクトは大規模かつ長期にわたるものでしたが、ご担当者様方にご協力いただき無事にリリースを迎えられたことを大変うれしく思います。
お寺ならではの業務に触れるのは、私たちにとって初めてのことで、実際に現場での運用を拝見しながらイメージをつかんでいきました。全体会議の始まりが、合掌・礼拝で始まることは特に印象に残っています。
今後も、よりシームレスな情報確認の実現をご支援させていただき、本願寺の皆様がお坊さんでなければできない業務に専念できるよう、今後も寄り添わせていただければと考えております。
- ※SalesforceはSalesforce, Inc.の商標です。
- ※記載されている情報は、取材当時(2025年9月)のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。