コラム
2023年8月21日

名寄せとは?顧客情報整備に欠かせないデータクレンジングの仕組みを解説!

名寄せ
住所の正規化
顧客情報管理

みなさんの会社では、保有する顧客情報・データベースは、情報に誤りや欠けがなく、最新状態を保てていますか?

企業において顧客情報は重要資産であり、データドリブン経営を推進するうえでも大切な役割を担います。
本記事では、顧客情報を管理するうえで欠かすことのできない「名寄せ」について解説します。

名寄せとは?

「名寄せ」とは、複数のデータを名称(個人氏名、企業名)、住所、電話番号といった情報をキーとし、表記ゆれや重複などを解消して、正しい1つの情報にまとめる作業のことです。

企業活動を行うなかで、同一の人物/企業にも関わらずデータベースに重複して登録されてしまうことはたびたび発生します。このような時に名寄せを行うことで、誤りや欠けがなく、最新状態の情報に整備することができます。

名寄せの必要性

情報の正確性・完全性の確保のため

適切に顧客情報を管理するためには、内容に誤りや欠けがなく、最新の状態が保たれている必要がありますが、情報の正確性・完全性が損なわれると以下のようなことが発生する可能性があります。

・同じ顧客にダイレクトメールを複数通送ってしまう
・重要書類を転居前住所に送り、不着となってしまう
・別部署で発生したトラブルやクレームに気づかず営業等をかけて、さらなる炎上につながってしまう
・個別の取引/購入しか見えず、重要な得意先/顧客を把握できない

こうした失敗は、無駄な営業コストがかかるだけでなく、信用の失墜につながる懸念があります。

顧客情報の戦略的活用のため

デジタル社会において事業成長を続けていくためには、データを戦略的に活用することが有効といえます。顧客情報をマーケティングに活用している会社も多いのではないでしょうか。

しかし、せっかくマーケティング施策を実施しても、顧客情報が適切に管理されていなければ、顧客にあわせた適切なアプローチをすることができずに機会損失や顧客離れにつながる懸念があります。ロイヤルカスタマー育成のためにも、顧客情報を整備することは不可欠です。

表記ゆれや二重登録はなぜ起こる?

では、なぜ表記ゆれや二重登録が発生してしまうのでしょうか。主な要因をご紹介します。

大規模データの統合

個別管理しているサイロ化したシステムから顧客情報を集約して一元管理する場合や、グループ全体で統合管理システムを構築する場合など、複数に分かれた顧客情報を統合する際に二重登録が発生することが多くあります。それぞれ情報管理の仕方が異なることから情報の鮮度・精度にバラつきがあり、同一人物/企業の判断が一筋縄ではいかないケースもみられます。

さまざまなチャネルからの登録

近年、申込や登録の方法は、紙、WEB、アプリ、SMS、電話・・・のほか、Yahoo! JAPANやLINE、Facebookなど他のサービスIDとの連携を利用するケースもあり、多様化しています。複数のチャネルからの登録により、二重登録や表記ゆれが発生することも増えています。

担当者ごとのゆらぎ

担当者がデータ入力・登録をする場合は、ルールを定めている企業が多いと思いますが、現実的には関係者全員のルール徹底は困難であり、ヒューマンエラーによるミスも起こります。

ライフイベントによる変化

結婚による改姓や、転居による住所変更など、ライフイベントによって情報は変化しますが、変更手続き漏れにより、同一人物かどうかの判定ができなくなることがあります。

よろしければこちらもご覧ください。表記ゆれが起こりやすい日本の住所について解説しています。

データクレンジング・名寄せの仕組みを解説!

上記のように、二重登録や表記ゆれが起こる要因には、事前に対策を打つことが困難なものもあることから、あらかじめすべてを防ぐことは不可能です。また、企業活動を行うなかで顧客情報は日々増えていくため、手作業での整備には限界があります。

そこで役に立つのが、膨大な量のデータを、システム的に名寄せ処理をすることができるツールです。
アグレックスが提供するデータクレンジング・名寄せツール「Precisely Trillium(日本版)」は、同一の個人/世帯/法人を名寄せして最適な整備を行うための機能が搭載されており、以下の流れで分散化したデータを統合します。それぞれ詳しくみていきましょう。

①データプロファイリング(品質調査)
②データクレンジング(表記統一)
③データマッチング(名寄せ)

①データプロファイリング(品質調査)

データの整備に取り掛かる前に、まずは現在のデータの状態を項目別に収録率や収録形式を調査・分析し、不正値を検出・特定します。事前にデータの課題を洗い出すことで、より適切なクレンジング・名寄せプランをたてることが可能となります。

<ここがポイント!>
アグレックスでは、20年以上にわたりデータ整備サービスを提供しており、年金記録問題の解消や、メガバンク統合再編時のペイオフ対応の際も、アグレックスの名寄せノウハウが活躍しました。豊富な経験則を活かしたデータコンサルティングにより、お客様の目的にそった最適な名寄せ処理を提案します。

調査内容
例:項目別の集計結果

②データクレンジング(表記統一)

次に名寄せの前処理として、フォーマットの統一、文字列の置換、表記の統一を行い、名寄せ(マッチング比較)しやすい形式に整えます。この処理を行うことで、名寄せの精度が向上します。

<ここがポイント!>
住所や姓名、企業名など表記ゆれが起こりやすい項目は、「Precisely Trillium(日本版)」に内包されている、アグレックスのマスター製品(辞書)と突き合わせることで、正しい情報への変換を行っています。

たとえば、住所情報については、1975年以降の住所情報を収録している全国住所マスター「ADDRESS」をもとに、不完全な住所の補記や、現在は利用されていない旧住所を現住所表記に変換する処理を行います。

例:フォーマットの統一、文字列の置換
例:住所表記のクレンジング
例:名称のクレンジング

③データマッチング(名寄せ)

最後に、データプロファイリング、データクレンジングで整備したデータのマッチング処理を行います。

<ここがポイント!>
「Precisely Trillium(日本版)」は、項目の値の類似度を細かなスコアリングで評価し、その一致/不一致の閾値を自由に設定することができます。項目ごとに「完全」「あいまい」のフラグ付けを行い、複数項目を組み合わせて、目的に応じた柔軟なマッチングを行います。「完全」と判断したデータは自動名寄せ、「あいまい」と判断したデータは手動名寄せというように、結果に応じて運用を振り分けることが可能です。

例:データマッチング

まとめ

企業において顧客情報は重要資産です。

ここまで説明してきたとおり、顧客情報を整備しないままでは、顧客満足度や業務効率の低下にもつながります。

デジタル化が進み、顧客行動やニーズなど、さまざまなモノゴトをデータで捉えられるようになってきた今こそ、名寄せにより顧客情報を整備して、関連づけて意思決定を行うことで、企業競争力を高めましょう。

もっと知りたい方必見!動画で見る「名寄せ」と「データ利活用」
※ AGREX Webinar集サイトへ遷移します。
  • 記載している情報は、記事公開時点のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

コラムについてのお問い合わせ