コラム
2024年9月5日

BPMで営業業務を効率化!技術活用の前に業務プロセスを標準化するメリット

OCEB資格取得者インタビューvol.3 営業企画職

BPM
OCEB資格

BPMを用いてお客様のビジネスプロセス変革を支援しているアグレックスでは、最適なサービスを提供するべく「BPMスペシャリスト」の育成に注力しています。育成には、研修・勉強会を実施するほか、BPMを活用するうえで必要な知識を習得することができる「OMG認定BPM技術者資格試験(以下 OCEB資格)」の資格取得を推進しています。

OCEB資格をつうじて習得したBPMの知識・スキルが実業務にどのように活きているのか、BPMによりお客様にどのような価値提供ができるのか等、資格取得者(営業企画職)にインタビューしました。

BPMとは?

BPM(Business Process Management)は、企業が業務プロセスを体系的に分析、設計、実行、最適化し、継続的な業務改善サイクルを実現するための管理手法です。1990年代に台頭したBPR(Business Process Re-engineering)との違いは、BPMは単発的な変化ではなく、継続的な改善を目指す点にあります。市場や顧客ニーズが複雑化・多様化するVUCA時代において、企業がビジネスを継続・発展させていくために必要な取組として、昨今多くの企業で注目されています。

BPMのメリットとは?

BPMのメリットは、業務プロセスの透明性・柔軟性の確保と効率化にあります。業務プロセスが可視化されることで、どこに改善の余地があるかを把握しやすくなり、属人化の解消や業務の無駄・重複の排除、効率化を実現できます。また、市場の変化や顧客ニーズに迅速に対応できるようにプロセスを再設計・再構築するため、柔軟性のある組織づくりが可能となります。

OCEB資格とは?

OMG認定技術者資格試験プログラムは、IT業界標準における知識と熟練度を証明することができる世界標準の技術者試験で、世界130ヶ国以上で試験が実施されています。そのなかでも「OCEB(OMG-Certified Expert in BPM)資格」は、プロセスを分析してモデル化し、非効率性を特定、改善を実施して組織の戦略的成果を推進する能力を有することを証明する資格です。

デジタルトランスフォーメーション事業本部 DX営業部
主任補

K.A.

本インタビューのサマリー
  • OCEB資格で得た知識を活かし、DX関連商材の提案活動や、営業業務効率化に取り組んでいる。
  • BPMについて勉強したことで業務プロセスへの意識が高まり、お客様の経営目標や業務プロセス全体に目を向けた提案が可能になった。
  • BPMは単なるミクロな業務改善ではなく、実現すべき目標を定量的に定めたうえで現場の改善に落とし込むもの。業務プロセスを標準化しておくことで、最新技術も効果的に導入できる。
  • 今後も業務改善を通してお客様がビジネスの価値を発揮できるように、業務プロセスに立ち返ったヒアリングや提案を行いたい。

01 現在の業務内容について教えてください。

もともとは、営業職でお客様への提案活動を行っていましたが、2023年の1年間は営業企画を担当していました。
外部のベンダーから提案を受ける立場だったので、営業として提案する側とは逆の視点で物事を見ることができました。お客様が施策を行う前に知りたい情報をより深く理解することができ、営業における提案の勘所を掴めた実感があります。

そこで得た経験を活かし、現在は再度営業部門に戻り、製造業を中心とした幅広い業界のお客様に対する提案活動を行っています。具体的には当社のDX関連商材を活用した基幹システム周辺のアプリケーション開発や、業務プロセスをデジタル化することをご提案しています。

02 資格取得にあたって、会社からどのようなサポートを受けましたか?

会社からは教材費やeラーニングの受講費用、受験費用を全額負担してもらいました。その分プレッシャーも感じましたが、適度な緊張感を持って学習に取り組めました。

また、受験経験者や他の受験予定者を集めた勉強会にも参加しました。初めて受験する私は事前知識がほとんどなく苦労しましたが、受験者同士で分からないところをお互いに質問し、教材以外で参考になる資料や情報を共有するなど、受験者全員で主体的に話し合いながら、知識を深めることができました。

自己学習として、終業後に2時間ほど勉強時間を確保するようにしていました。まずはテキストをじっくり読んで理解を重ね、受験1週間前にeラーニングに切り替えました。eラーニングはシンプルな一問一答形式なので、復習に活用できました。

03 OCEB資格取得によって、どのようなスキル・知識が身につきましたか?

BPMというキーワード自体は4〜5年前から耳にしていましたが、BPMが必要とされてきた歴史や現代での活用方法を学んだことで、BPMの全体像を初めてきちんと理解することができました。

BPMの流れは、企業として目指すゴールから逆算し、実現すべき目標を定量的に定めたうえで現場の改善に落とし込むというイメージであり、「BPM手法は単なるミクロな業務改善ではない」という点を学べたことは大きかったです。

04 OCEB資格は日常業務にどう活きていますか?

OCEB資格取得のための学習で学んだことは、営業業務の効率化に役立っています。

現在は営業企画部門から営業部門に戻りましたが、サブミッションとして営業業務の効率化にも携わっています。
OCEBで言及されるBPMでは国際標準の統一された表記を使用して整理するため、誰から見ても業務プロセスが分かる状態になります。BPMの作法に沿って、営業の悩みをもとに業務プロセスを描き起こし、改善策を検討することができるようになりました。
例えば、請求業務のプロセスを可視化してみると、営業と技術部門のコミュニケーションが煩雑になっていることが分かり、改善点が明確になりました。

この業務効率化プロジェクトは、2024年4月に当社営業部門の組織改編があり、少ない人数で多くのお客様に対応する必要が生じたことをきっかけに始まりました。
成果としてメンバーからは「プロセスを変えたことで余分なタスクやコミュニケーションコストが減り、業務負担が軽減された」「お客様からのお問い合わせに回答するまでのリードタイムを短縮できた」という声があがっており、フィードバックをもとにさらに業務改善を進めていきたいです。

05 営業企画職にとってOCEB資格はどのような意義があると思いますか?

業務プロセスへの意識が高まることで、営業としてお客様の業務全体のプロセスや目的に立ち返った提案ができると感じています。

例えば先日、SFAをうまく使えていないためシステムを改修したいというお客様から相談をいただきました。しかし課題をヒアリングすると、入力作業に対する営業サイドのモチベーションが低いなど、SFAを使う目的意識の方に原因があると感じました。今までであれば単純にシステム改修を提案していたと思います。
しかしOCEB資格を勉強してからは、業務の開始と終了の条件や、何をインプット・アウトプットすればゴールなのかといったプロセスのつながりを意識できるようになりました。

私は営業企画と営業の両方を経験したことで、高い視座で業務を俯瞰する力が身につき、BPMの観点からも根本的な問題に気づく感性が養われたように感じています。

06 業務においてBPMはどのように活かされていますか?

営業企画の業務プロセスは企画によって異なるので、特定の業務パターンに沿って成果物を作るというBPMの手法を適用しづらい側面があります。
しかし、企画の立場で営業業務を高度化したり、営業プロセスの中でも共通する部分を効率化する場面で、少しでもBPMを活用できると考えています。

具体的には、営業業務の高度化に向けて、電子化した名刺データの共有や、SFAに入力する情報や段取りを整備するといった取組を行いました。
このように、BPMの考え方を活かして商談から受注までの各プロセスで必要となる行動を整理し、標準化や自動化することで、業務全体の効率を上げることができると思います。

07 BPMの重要性についてどのようにお考えですか?

BPMは企業規模や業種を問わず必要な概念だと思います。プロセスにかかるコストを削減したい、お客様への提供サービスやプロダクトの品質を安定させたい、リードタイムを短縮したい、環境の変化に迅速に対応できる企業体質を作りたい、こんな目的を持っている企業や事業であれば、BPMは目的達成の重要な要素になると思います。

一方で企業ごとに組織体制・課題などが異なるため、BPM手法を取り入れる際には、現場まで変革マインドが浸透しない等、さまざまな障壁が生じます。
そのような場合は、ボトムアップでマインドを醸成するアプローチが必要です。1つの手段として、現場部門を巻き込んで業務改善を考える方法が効果的ではないでしょうか。「こうすれば実現できそう」という筋道を持ってもらうことで、現場の方も主体的に動けるようになると思います。

当社が提供している「プロセス変革チャレンジ」というサービスでは、業務プロセス改善のノウハウを持った当社の社員が、お客様が現場部門を巻き込んで変革マインドが浸透するよう伴走するため、BPMをまだ取り入れていない企業でも安心して取り組めます。
また、現場の巻き込み方だけでなく社内のプロセス変革リーダーとなり得る人材の育成にも寄与したサービスなので、中長期的な業務改善も見込めます。

08 今後、OCEB資格を活かしてどのような活動をしていきたいですか?

1つの業務の効率化だけに目を向けるのではなく、お客様の業務プロセスのゴールや経営目標に寄り添ったヒアリングや提案を続けていきたいです。
そのためには、お客様の最終的なゴールに立ち返りながら、業務プロセスの改善がどのように経営課題の解決につながるのか、業務プロセス改善の成果がゴールに紐づいているのかなどを常に意識しながら、お客様と真摯に向き合って提案を行うことが重要だと感じています。

09 最後にお客様に伝えたいことがあれば教えてください。

昨今はSaaSシステムの活用やプロセスマイニングの概念が広まり、より継続的に業務改善できる基盤が整いつつあります。BPMを活用して業務プロセスを可視化しておけば、パンデミックや法改正などの際も、業務プロセスを柔軟に変更し、さまざまな変化にいち早く対応することができます。

また、生成AIなどの新しい技術をどう取り入れるか悩んでいる方のお手伝いも可能です。新技術が流行すると、導入することを先行しがちですが、BPMで業務プロセスをあらかじめ可視化・標準化しておけば、どの部分で活用すれば効果が出やすいのかを把握でき、投資に見合った成果を得ることができます。

新技術の導入にお困りの方は、ぜひアグレックスにご相談ください。

  • 記載している情報は、記事公開時点のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

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